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8月13日(日)R・D・ウイングフィールド「フロスト始末」(上下)創元推理文庫

80歳のいままで長いことミステリーを読んできたが、これほど面白いミステリーはなかった。本格とかハードボイルドとか、そういうジャンルに関係なく、この小説の主人公、フロストほど強烈なキャラクターの主人公はいなかった。英国のデントンという地方都市の警察の警部だが、愛していた妻と不仲になり、取り返すいとまもなく病死され、よれよれのレインコートを着て、常にタバコを口から離さず、署長のマレットに疎んじられて、今回は主任警部として赴任してきたスキナーという性悪男にいびられ、次から次と起こる事件に追われて寝る暇もない。今回の事件で最悪なのが、13歳の女の子が殴られ裸にされ強姦されて殺されるという最悪の事件で、解明が遅々と進まない。ミステリーだから詳しくは書けないが、そして、この小説がウイングフイールドの遺作であって、フロストものシリーズの最後の作品が、フロストのキャラクター、事件の特異さ、デントン署のほかのメンバーのフロストへの信頼、スキナーがフロストを意地悪して、フロストをもっと田舎の警察に飛ばすことになった顛末、どれをとっても興味深く面白い、文学としても十分通用する、ミステリーの金字塔だと言える。フロストはデントン署に残れるのか、最後はページをめくるのが惜しくて・・・。

by engekibukuro | 2017-08-14 09:57 | Comments(0)  

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