6月5日(火)

高橋源一郎「ぼくたちはこの国をこんなふうに愛することに決めた」再読おわる。初読がいかにずさんだったかを思い知らされた。この本が吉野源三郎「君たちはどう生きるか」の21世紀版を書くことを目標に書かれた本だということを著者があとがきで明言しているのに、それに読んでいるときには気づかなかった。まあ、だいぶ様子がちがうのだが、登城する少年は同じ4人、「君たち・・」はコペル君、水谷君、北見君、それと豆腐屋の息子の浦川君、この本ではランちゃん、アッちゃん、ユウジンシャチョー、リョウマさんだ。そして「名前のないくに(仮り)」の「くに」をつくるという4人の動機が現在きわめてアクチュアルだということ・・。佐藤優は朝日新聞に今の森友学園を巡る政治の混乱について、「国家の劣化が著しい。改めるには、小中学校を含め教育から帰るしかない」と書いているが、そのことにこの本はきちんと呼応しているのだ。それと天皇のこと、少年4人が皇居を訪れるシーンがあり、果てのない本棚の行列のなかで、突如ほとんど裸のクマっさんが出くるが、これは南方熊楠野であることは明白で、天皇という存在を改めて見直した、片山杜秀のこの本の書評の結語「戦後日本に生まれた愛のある天皇小説。それが本作の核心的意義だ」、これは高橋が雑誌「新潮」に隔月連載している「ヒロヒト」に繋がっている・・。
・北斗賞・堀切句:”仏塔の木目を深く秋の雨”、”露の玉こはるるまでに歪みけり”、”胎の子の大きな寝返り秋うらら”

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by engekibukuro | 2018-06-06 07:02 | Comments(0)  

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