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11月16日(金)M「父と暮らせば」関根真帆+竜昇企画公演

作:井上ひさし、演出:保科由里子、下高井戸HTS、竜昇企画
井上ひさしの名高い名作に関根と竜が挑戦して、大きな成果を上げた舞台だった。私は、初演のすまけいと梅沢昌代の舞台を観ていて、あの舞台以上の舞台はないだろうと思っていたが、この舞台はあの舞台に匹敵する舞台だった。舞台は演出の保科の創意で三面の囲み舞台。なにより娘・美津江を演じた関根の演技が胸を打つ・・。自分が原爆投下の時、庭石の陰にころび直撃されず生き残ったこと、一緒にいた父は死に、親友も死んだ。自分だけ生き残った罪責感・・。自分は幸せになるまいという気持ちで生きているが、勤め先の図書館に原爆資料を集めている青年と知り合うようになった・・。それを死んだ父が現れて、その青年と幸せになるよう応援するのだが、娘は自分の複雑な気持ちを持ち続ける。この竜昇演じる父との対話が、天性の愛嬌のある態度で応接する関根の演技が観客の心に染みわたるようなのだ・・。竜の父は、初演のすまけいは歴残とした死者の幽霊のニュアンスがあったが、娘との対応は死者であることをあまり感じさせず、ふるまう。それが、関根の演技とマッチして忘れがたい”父と娘”の姿を創り上げたのだ。ほんとうに見ごたえのある舞台だった。
「凡そ君と」句:”傘さして一人と思ふ寒の雨”、”寒肥を撒く長男の嫁として”

by engekibukuro | 2018-11-17 07:31 | Comments(0)  

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