2月6日(水)M「Le Pere 父」東京芸術劇場シアターイースト

作:フロリアン・ゼレール、翻訳:斎藤敦子、演出:ラデイスラス・ショラー
アルツハイマーの症状が出はじめた”父”と娘の話。この戯曲はフランス演劇賞最高位のモリエール賞最優秀脚本賞を受賞して、30か国以上の国で上演され、その日本初演だ。この戯曲は、フランスの86歳の俳優・ロベール・イルシュのために書き下ろした作品だそうだ。日本での初演は、日本人では最適役だろう橋爪功が演じた。テキストそのものもすごいが、橋爪の演技も素晴らしく、老年の私にも思い当たることが数々あって、身につまされた芝居だった。冒頭で、ヘルパーの看護師が、この”父”に困らされて、娘に訴えてくる・・。娘は”父”のアパルトマンに駆け付ける・・・。そして恋人がいるロンドンにゆくが、週末には戻ってくるからといいおいて別のヘルパーに託して出てゆく・・・。それからの劇の展開は、代わったわったヘルパーも娘のパートナーも舞台に出てくるが、それら全体が”父”の妄想なのか現実なのか、観ていてわからなくなってくる・・。妄想のリアリテイも現実世界のリアリテイも拮抗して、最後に冒頭の娘のロンドン行きのシーンに回帰するが、自分の理解もなんだかおぼつかない・・。こういう世界を現出させた橋爪の演技による存在感が圧倒的だった。
「堀切句」:降誕の日を待ちわびて冬木の芽”、”きらきらと水を吐きたる海鼠かな”

by engekibukuro | 2019-02-07 09:57 | Comments(0)  

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