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「おーい幾多郎」10月1日M吉祥寺シアター

作:池田むかう、演出:西川信広。この芝居の発祥は金沢市民芸術村ドラマ工房。松田正隆の戯曲講座で最優秀作として選ばれた選べ戯曲をドラマ工房がリーデイングを経て舞台化して、それをプロヂューサーの衛紀生が幾多郎の母親役を文学座の本山可久子で上演する企画をたて、文学座ユニット公演が実現した。だから実質文学座公演。この芝居は大哲学者西田幾多郎が金沢で中学の教師をしていた時代を取り上げた。かっては大庄屋だった西田家が没落して家長の幾多郎が母、弟や姉の面倒をみて妻と家計のやりくりをし、子供も次々に生まれる。その上書生を住まわせたりと大変な毎日を描いた名著「善の研究」が出版される前夜の時代の西田一家のホームドラマ。幾多郎を演じた瀬戸口郁の、いかにもこの時代の幾多郎はこういう困難にもめげない闊達な人間だっと思わせる好演が光る。本山の母親も舞台の芯として立派。文学座らしい好舞台だった。私は「善の研究」は1頁で撤退、「絶対矛盾の自己統一」という言葉を覚えたtだけだが、大哲学者もこういう家族に囲まれた普通の暮らしの時代もあったのかと、まあ親しみを感じた次第である。

by engekibukuro | 2008-10-02 11:11 | Comments(0)  

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