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12 月2日S「愛と青春の宝塚」新宿コマ劇場

作:大石静、演出:鈴木裕美。コマ劇場最終公演。大石・鈴木といういまが旬の無敵コンビが華やかで骨太の舞台を創りあげた。主演は現宝塚の紫吹淳と湖月わたるのWキャスト。それに石井一孝、本間憲一ら男優が加わり、あとは宝塚OGほか現有勢力。一幕は宝塚草創期、二幕は戦時中と満州慰問の旅先。大石の「どんな時代でも人はエンターテイメントを求めてやみません」、また「その表現の自由が侵されてはなりません」というメッセージが生きる、宝塚の苦難の時期が描かれている。しかし、鈴木の演出は冒頭から宝塚の定番のスペクタクルを存分に振舞い、「すみれの花咲く頃」や「おお宝塚」が熱唱され、客を宝塚の実際の舞台に接する気分にしてくれる。その華やかなショーのシーンとバックステージのリアルな話の相互の入れ方と加速性が絶妙で、戦時のもんぺ姿のタカラジェンヌのフィナーレまで盛り上げ、コマのセリとボンの全機構が稼動してコマ劇場の最後を飾った。創設者小林一三の「舞台は大衆のものだ」という信念が最後まで貫かれた。それにしても宝塚を創設し、82歳で梅田、新宿のコマ劇場を立ち上げた小林はなんという傑物だろう。幕間に鈴木裕美に会って「コマは初めて」ときいたら「初めてで最後です」と・・・。コマの最後に立会えて幸せでした。

by engekibukuro | 2008-12-03 10:20 | Comments(0)  

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