★「ベッドルーム・ファンタジー」(作:ジョン・トビアス、訳:丹野郁弓、演出:高橋昌也。黒柳徹子主演海外コメデイ・シリーズ20周年記念公演。老年期にさしかかかった金持ち夫婦が、性機能の衰えを回復するための苦心惨澹を描いた芝居。夫婦(黒柳、団時朗)はマンションの管理人(石田太郎)やクローゼットに隠れていた空き巣狙いのこそ泥(田山涼成)を脅して妻を襲わせ、ソレを見た女装した夫が興奮して回復するという筋書きを実行しようととするが、なかなかうまくいかない。黒柳が黒い豪華下着であられもなく大奮闘。歳を感じさせない豊満な体が眩い。あれやこれやの果てに結局、精神的な再一致で光明を見出すというよく出来た艶笑コメデイ。元気な黒柳が見もので、黒柳の姉に扮した円の立石涼子が面白い。
★★「ショパロヴィッチ巡業劇団」(作:リュボミル・シモヴィッチ、演出:プロスペール・デイス)黒テント。第二次大戦下でのドイツ占領下のセルビアの小さな町での出来事。この町にたった4人、男優二人、女優二人の巡業劇団がやってきた。彼らはシラーの「群盗」を4人で上演すという。こんな戦争の真っ最中に芝居なんてと排斥する町の人々、こんな時だからこそ芝居が必要と力説する劇団団長を支持するの人たちはごくわずかだ。そういう民衆・町の権力者・ドイツ軍との軋轢をいろいろな町でのエピソードをまじえて物語る芝居だ。過酷な現実から浮いてしまう芝居モノの特性がよく描かれている戯曲だ。結局上演は不可能のなるが、劇団員はそういう現実に民衆のために演劇的に貢献する。芝居と現実の区別がつかない男優、銃声が頻繁にこだまする状況なのにのんきに川で泳ぎを楽しむ女優だが、男優はドイツ軍に捕まっている青年の身代わりになり、女優は拷問者を改心させる。いかにも黒テントの伝統にふさわしい歌も楽器演奏もある出しもので、演劇の民衆の中での役割と価値を極限状況で問いかける芝居として成功している。役者も横田桂子以下頑張って戯曲の核心を伝えたが、まだまだ面白くなる可能性を感じた。
★11日づけ円「コネマラの骸骨」で誤記がありました。お詫びして訂正いたします。
コマネラの骸骨→コネマラの骸骨、ビューテイ・オブ・クイーン→ビューテイ・クイーン・オブ・リナーン、ニック・ダウト→ミック・ダウト、山岡廣美→山乃廣美。