雪之丞一座ー参上公演。人気上昇中のロックバンド サイケドリック・ペインのヴォーカル<詩音>(福士誠治)の前に現れた謎の美女<ソフイ>(北乃きい)は自ら天使だといい「世界を救えるのはあなただけ。あなたは救世主です」と訴える。大天使ミカエルを復活させる鍵「救世主(メシア)の孤独」をあなたは隠し持っているとぃうのだ。人しれず”孤独”を抱えていた詩音は、ソフィアの存在は特別の感情を芽生えさせた・・。というのが、この波乱万丈のロック☆オペラのスタート点。森の戯曲を最初読んだいのうえは、まさか舞台化ができるとは思いもしなった”ブッ飛んだ戯曲”だったそうだ・・。それをバンドのメンバーとして綾野剛、内田朝陽、前川紘毅、松田翔、敵対する悪魔のグループには片瀬那奈、内田慈、菅原永二、安田榮徳、劇団新感線から橋本じゅん、右近健一、中谷さとみ・・らのメンバーがかぎりなく荒唐無稽かつ真実一路の大スペクタクルを展開してゆく・・。スペクタクルを支えるのは、森&布袋の客のエモーションをいやがうえにも引きずり込み昂揚させるロックの詞と曲の牽引力と、いのうえの一分一秒も人物のアクションを無駄にさせないステージングとアニメ、コミック、レタリングを連動させてストーリーを躍動させる映像のレトリック、そして、川原正嗣の暴力と美学の結晶ともいうべき殺陣の迫力・・・かくして詩音の孤独の行く末は素晴らしい音楽とまばゆいセノグラフイーの舞台美の裡に光芒を新たにしてゆくのだ・・。おわってオールスタンデインのオベレーションがいつまでも続くのだった・・。
▲現在90歳の報道カメラマン福島菊次郎の生涯の、現在を含めた仕事と生き様を描いた映画「ニッポンの嘘」(監督:長谷川三郎)。福島はいまは山口県の柳井で柴犬との一人暮らし。生涯撮った写真は25万枚、ヒロシマの放射能障害に苦しむ一人の患者を撮り続けるたのをはじめ、現在まで日本での社会で起きた事件、出来事、歴史を網羅的に撮ってきた。現在の東日本災害、原発事故も現場に駆けつけている。妻と別れて子供を3人育て、さらに子供を成人させて、好きになった女とっ瀬戸内海の無人島でくらしたという破天荒の陣人物だ。昭和天皇が原爆について”戦争だからいたしかたない”、戦争犯罪については”そういう文学方面のことはわからない”という発言に怒り、昭和天皇の責任を訴える写真展で日本中を巡回する。虐げられた民衆の苦難を撮ってきて、ニッポンとぃう国家を信ぜず年金も受け取らない。だが、苦しい生活なのに小奇麗にさっぱりして闊達に生きている暮らしっぷりは感嘆する・・。いまはヒロシマの原爆から現在の原発事故までの、生涯のライフワークを執筆中だ。素晴らしい映画だった。銀座シネマパトス。
▲ by engekibukuro | 2012-08-31 13:58 | Comments(0)