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1月12日(火)小田島雄志・翻訳戯曲賞

 
 小田島雄志・翻訳戯曲賞の贈呈式と祝賀会が、池袋あうるすぽっとで行われた。

今回の受賞者は

 渡辺千鶴氏と松鵜功記氏
渡辺氏は:ニック・ペイン作「星ノ数ホド」、リチャード・カリノスキー作「「月の鴨」の2本
松鵜氏は:ルーカス・ベアフース作「20000ページ」
 小田島先生による賞状と賞金の贈呈、受賞者の受賞の言葉、来賓挨拶は、高野豊島区長、演劇評論家岩波剛氏と高橋豊氏。受賞者二人の挨拶には、学生時代からの芝居好き、演劇活動が、戯曲の翻訳という形で演劇に参加で来た喜びにあふれていた。
 受賞した3本の芝居は、じつにユニークで印象に残っていたので、この受賞は妥当だし、嬉しいものだ。
祝賀会は昨年の受賞者の谷賢一氏の乾杯の挨拶で始まり、楽しい晩であった。、

by engekibukuro | 2016-01-13 09:46  

1月11日(月)M「王女メデイア」平幹二朗

  
 原作:エウリーピデース、修辞:高橋睦郎、演出:高瀬久男、田尾下哲、幹の会・リリック、東京グローブ座

 82歳の平幹二朗の王女メデイア・・。1978年、蜷川幸雄の演出により男優として王女メデイア役に挑み、そして1983年にはアテネの舞台に立ち、ギリシアでギリシア以外の国の人間がゴリシア悲劇を演じて、大絶賛を浴びるという快挙を成し遂げた・・。
 この舞台でも、それを彷彿させ、実に見事な舞台で感動する。ただ、故高瀬の演出を踏襲したこの舞台は、蜷川の演出と違って、スペクタクルの要素は削いでいる。よりリアルに土地の女のコロスが、メデイアに寄り添い、メデイアの運命に知っていながら関与できない嘆きが中心になっている。メデイアが夫に理不尽に裏切られ、復讐を誓って、夫の領主の娘の新婦を殺し、さらに領主をも死なせ、自ら我が子二人の息の根を断つ、これらの経緯をリアルに追っている舞台を観て、メデイアの行為をあれこれ考えるのは、それはそれで観賞の要素だが、スペクタクルにならないにしても、これだけの惨劇は、リアルな感触の域を超えた、なにかメタフイジカルなクレヴァス、一切を鳥瞰するような視点が・・・・と一種のないものねだりのような感情も湧いてくる。それも平の素晴らしい演技があってこそだ!

by engekibukuro | 2016-01-12 08:40  

1月10日(日)

・「すばる」2月号のマラソン連載の、沢美也子の<プレイヤード演劇>の今月は、1月二兎社公演「書く女」
作者の永井愛へのインタビュー、再演だが、今回はだいぶ変更した、そのテキストの変化が、再度の樋口一葉の全集の精読によるという永井の話が読みごたえがある。観劇が楽しみだ。
・同号の柄谷行人へのインタビュー「批評にできること」、花田清輝、江藤淳、大西巨人、吉本隆明についての言及、柄谷は当初は、文学を目指すか数学をやるか迷ったそうだ。カントを論じても、マルクスについての論文でも、それはすべて私の文芸批評だと思ってほしいと、柄谷は語っていた。
そして、この号での最大収穫は戌井昭人の小説「ゼンマイ」、日本に興行にきた「ジプシー魔術団」の「荒唐無稽人間市」でリンゴを頭に載せた女が、自分の身体をリンゴの大きさまで体を縮めてしまう芸をする、その芸人と、一座の機材の運搬をするトラック運転手の交情を描いた小説だ・・。女はモロッコ生まれ、女は別れ際にゼンマイを男に渡す、男はそのゼンマイの女が忘れられず、後年モロッコのタンジュへ女を訪ねてゆくのだが、この小説はその男の通訳として同行する人間の記述で構成されている。このタンジュ行きが中心ではあるが、この成功した元トラック運転手の付き合ってきた男達、その有象無象の人間が、戌井独特の筆致で実に面白く賭けていて、もともと私は戌井のファンだが、この小説がは戌井の群を抜いた傑作だと思う。再読してまた・・・。
・夜は、上野の海鮮中華料理店蓮風で息子一家と義妹との新年会、孫二人が、部屋中を飛び歩いて、楽しい晩になった・・・。

by engekibukuro | 2016-01-11 09:29  

1月9日(土)M「噛みついた女」新国立劇場

 新国立劇場演劇研修所公演 第9期生終了公演
 作:三好十郎、演出:栗山民也
 三好十郎の喜劇という珍しい出し物だ。1936年の作だから、むろん昭和の喜劇。といってなかなか中身は時代を映して”深刻”なはなしでもある。東北の極貧の農家の娘を、東京の金持ちの篤志家が、女中に傭うというのが、新聞の美談の記事になった・・・。で、その東北なまり丸出しの娘がその家にきてみれば、先輩の女中は、その家のドラ息子の子をはらんでいたり、娘はピアノ教師とできていたり、長男の父親がどうやら母親の不義の子らしいとか、この一家風紀紊乱ぶりはすさまじい・・。この娘を田舎から連れてきた春光園ホームの先生から、なにごとも正直にと言われてきたから、この新米女中は、この家では秘密になっていることをどんどんしゃべるから、家の中は、大混乱、とうとう追い出されて、娘はゆくところがなく女郎屋へ・・・。その時代の世相をまるまる写したまるで今みると漫画のようなドタバタで、娘もそんなに暗くなく、自分の運命にはアッカラカンとしているし、これはこれで一幅のお芝居として今観ても面白い・・。というより、三好の作は、どんな逆境に生きる女を描いても、その女の生命力そのものの輝きをちゃんと残すのだ。研修生たちは、この昭和の匂いぷんぷんの芝居を、全員はりきって演じぬいて面白い舞台にしていた。

・NHKTVの特集「戦後70年の教育」で、無着成恭先生の編集した「山びこ学校」が取り上げられていた。この「山びこ学校」は映画になり、私は子役で出演した。このTVで無着先生がでてきて現在88歳でお元気そうで嬉しかった。この映画のロケ地山形の山元村の学校で、無着先生の授業を受けたのだ。その映画のわたしが教科書を立って教室で読んでいるシーンがTVに映っていた・・・。

by engekibukuro | 2016-01-10 09:28  

1月8日(金)

 「文学界」1月号

 馳平啓樹(はせひろひろき)「かがやき」

 ”主人公の「おれ」は港町の工場に勤務する。かって港町には「最終組み立ての工場が建ち並んだ。美しく仕上げられ、あとは店頭に並べるだけの商品が船に載せられた」。仕事は細分化されていても、まだ最終完成品を見届けることはできた。そこに喜びも生まれた。しかし時は移る。今や国際分業の時代。「おれ」の工場では何の部品かもよく分らないものを「海の向こう」からの一方的注文で作らされている。最終完成品を見届けるどころか、それが何かもしれない。・・・・・そこで「おれ」は最後の抵抗を試みる。夜間にアルバイトでコンビニ用のサンドウイッチを作る。「おれ」の仕事は「パンにキャベツを載せる」。それだけ。でも最終完成品を見届けられる。しかもおいしい!が、その現場も結局、喜びには遠い。雇用が不安定人間扱いされない。「おれ」の地獄落ちは止まらない。・・・・・「かがやき」は労働分割という近代人の大いなる不幸を、今に即して描けている。即物的な文体も題材に相応しい。これぞ現代の小林多喜二である。”
 以上、朝日新聞の片山杜秀の文芸時評の略記した引用である。まさに、片山が書く通り、まさに馳平は現代の小林多喜二だ・・。まさに則物的な文体は喚起的で豊かだ・・・。つまりは、今も多喜二が生きていた時代と相似的だということか・・・。

by engekibukuro | 2016-01-09 09:38  

1月7日(木)★M「十一人の少年」★★S「元禄港歌」

★作:北村想、演出:柄本明、劇団東京乾電池、ザ・スズナリ
 劇団東京乾電池創立40周年記念プレ公演。
 舞台に十一人の少年が出ては来ない・・・。ヘンな空き地にの上手にマンマルの青いサングラスをかけた盲人の女がいて、この女を中心に芝居は動くようだ・・、この空き地は会社の演劇部の寄合がある、会社員の家にも変貌する、その会社員の演劇部の人間が口にするのが”十一人の少年”と名前の芝居だと知る・・。それも不確かだ・・・、とにかくワタシには、この芝居は正直、なにがなんだかわからない・・。飛躍に次ぐ飛躍でおさまりどころが分からない。だが、わかるのは、柄本が大事に大事にこの芝居を創っているなという感触だ。そしてそれだけ、面白いか面白くないかは別にして、どの場面も充実していて、役者も懸命で、百戦錬磨の柄本がこれだけ芝居の標準など度外視して舞台に賭けるナイーブな情熱に感動するのだ。
★★作:秋元松代、演出:蜷川幸雄、シアターコクーン
ー千年の恋の森ー、開幕、美空ひばりが歌う「元禄港歌」が劇場を震わせ、辻村寿三郎が遣う人形が薄明の舞台に浮かび上がる。初演は1998年・・。この芝居は、なにより役者の芝居、眼目は役者の演技だ。中心はゴゼの座元糸榮を演じる女形での市川猿之助、それと並立する、播州の廻船問屋筑前屋の長男信助を演じる段田安則、その恋人ゴゼ初音の宮沢りえ、次男の万次郎の高橋一生、その恋人ゴゼの歌春の鈴木杏、父筑前屋平兵衛の市川猿弥、母お浜の新橋耐子、この主要キャストが「葛の葉伝説」にまつわる母と子の哀話を芯にした物語を進め、盲目のゴゼの一座の興業とと港町の喧噪が一体になる。不条理なアクシデントで信助が盲目になり、別の事件で歌春が自害する。この悲しい舞台で、猿之助の歌舞伎の型に由来する激情の抑制が感動を与え、舞台にポツリ、ポツリと間断なく落下する、女の血、港町の明るさをも思わせる椿の花が、悲劇を鎮める鎮魂歌ならぬ、鎮魂花として舞台に決定的に作用していたのだった。

by engekibukuro | 2016-01-08 10:39  

1月6日(水)S「花より男子The Musical」

原作:神尾葉子、脚本・作詞:青木豪、演出:鈴木裕美、音楽:本間昭光、日比谷シアタークリエ

 ”累計発行部数6100万部、日本一売れている少女漫画”だそうで、そんなタイヘンな原作をベテラン青木が脚色し、プロ中のプロ鈴木が演出するミュージカルを良いお席をいただいて観ることができた、新年の初舞台・・・・・。
 超越金持ち名門校「英徳学園高等部」のはなし、そこは「F4」と呼ばれる4人の生徒のよって支配されている。F4とはFlower4、すなわち「花の四人組」、大財閥道明寺家のプリンス、花沢物産の御曹司、日本一の茶道家元の跡取り、総合商社美作商事会社の後継者、この4人が学園を仕切っている按配で、この4人にむらがる女子生徒たちの群れが華やかだ・・・。だが、この女子のなかに普通の中産階級に生まれ、育ったつくしという女子に、F4が特別の関心をよせる・・。そこから曲折をへながら純愛が誕生するのだか・・、今の若い世代の恋の実情は、ホントはつかみきれない不安があるのだが、また原作をしらないのだが、青木が今の世の中の実情をきっちり反映させていること、それを鈴木が舞台にしっかり定着させていて、若い俳優群がそれをたしかに受け止めて、華やかなミュージカルだが、生活感が背景にしっかり根づいいているのが際立った舞台だった・・。

by engekibukuro | 2016-01-07 10:23  

1月5日(火)




 「悲劇喜劇」” 昨年の収穫”の原稿、入稿、2月初旬発行の3月号に掲載される。いい原稿だと、今村編集長がサービスでもいってくたので安心する。よかったら読んでください・・。



・本年初の東西の競馬、中山金杯、京都金杯、例年荒れるので名高い競馬だが、今年も自分が買った馬券の馬が、放馬して出場停止になったりで大荒れで取れず、今年も厳しいスタートであった・・・。

by engekibukuro | 2016-01-06 08:37  

1月4日(月)東山彰良「流」(講談社)

 正月は、この直木賞受賞作の小説を堪能した・・。

 ・”文句なく面白かった。若者の精神や肉体の確かな在処を感じさせる作品である。”
     桐野夏生

 ”活き活きした表現力、力強い文章、骨太のストーリーテリング、全編に漂うユーモア、すべてにおいて飛び抜傑作。”
    宮部みゆき
 ・まったくそのとおりの素晴らしい小説だ。一番心に残ったのは、この小説は台湾人が主体であるが、中国人の民族性そのものが赤裸々に活写されていること、同じアジアといっても、日本人とはまるでちがう。こういう民族とよく戦争をしたものだと思うし、今後の中国とのつきあいにも、おおいに助けになる小説だ。

by engekibukuro | 2016-01-05 09:07  

1月3日(日)谷岡健彦「泣初」(銀漢2016年1月号)

 平成二十七年「第五回銀漢賞」受賞作品(五周年記念号)

 昨年年初、父上を急逝されたことを詠んだ句、二十句のうち十句を揚げる。慟哭を鎮めてぎりぎりに抑え、一句々を屹立させた句だ。
 
 ・父の訃を聞きて喉より霜の声
 
 ・放心の身体は湯ざめするがまま

 ・もう物を言はぬ冷たき色の口

 ・とめどなくなりぬ今年の泣初は

 ・寒かろと母は毛布を亡骸に

 ・柩には入れずに居間に冬帽子

 ・冬薔薇の紅の移りて焼けし骨

 ・冬夕焼父の白木の位牌染む

 ・父の座に誰も座らぬ炬燵かな

 ・凍星のどれが祖父かと尋ねらる

by engekibukuro | 2016-01-04 09:39