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3月20日(日)「グアンタナモ収容所 地獄からの手記」

モハメドウ・ウルド・スラヒ著、ラリー・シームズ編、中島由華訳、河出書房新社

 モリタリア出身で、一時アルカラダに参加してアフガニスタンにいた著者が、9.11に参加したエtロリストだとアメリカの諜報機関に捕まり、モルタリアからヨルダンに連行されて、最後にはグアンタナモの収容所に収容され、およそあらゆる種類の拷問にさらされた体験の手記である。機関の検閲を経て出版された手記で
不都合の箇所は、訳書でも黒く塗りつぶされていて、それが毎ページごとにあり、中では全ぺーじ真っ黒なぺーじもある。著者は現在も収容されている。非常に頭の良い、語学が出来る人で、すさまじい体験をしているにもかかわらず、文章は機知に富み、体験を客観的に冷静にみつめて書いているのが感動的だ。グアンタナモはアメリカの法律の埒外の治外法権の場所だそうだが、こんなことが平気で行われているのは理解を絶する、アマリカの暗部だ。今の中東の混乱の原因が、アメリカだというこっとがわかる本でもある。

by engekibukuro | 2016-03-21 07:29  

3月19日(土)M「野鴨中毒」結城座・日越国際協働制作

原作:ヘンリック・イプセン、脚本・演出;坂手洋二、人形美術・衣装:寺門孝之、音楽・生演奏:太田恵資
東京芸術劇場シアターイースト
 キャストはヤルマールの人形を操作し、演じる十二代目結城孫三郎以下、江戸あやつり人形結城座の面々と、日越協働として、生身のヴェトナムの俳優レ・カインがギーナを、グエン・タイン・ビンが”脚をひきずる男を演じた。
 結城座の人形の演じる役柄と、レ・カインのギーナとの絡みが見どころだが、イプセンを洋人形で演じさせるというのは少々わかりにくいところがあったが、レ・カインの熱演がとても印象に残った。


・おもろ、カップル、もうすぐのメジャー開幕の話でもりあがる。

by engekibukuro | 2016-03-20 09:43  

3月18日(金)S「あなたに会ったことがある・4」

原作:チェーホフの短編小説(「かわいい女」・「小役人の死」・「恐怖」・「太っちょとやせっぽち」・「馬のような名字・「ワーニカ」、脚本:竹内銃一郎、演出:松本修、MODE 、上野ストアハウス

 ”MODEはしばらく姿を隠します。また逢う日までお別れです”、平成元年に、ザ・スズナリにおいて「逃げ去る恋」という芝居でスタートしたMODEが、しばらく休演することになった。文学座にいた松本と梅沢昌代が中心で、さらに小劇場で活動していた久保酎吉、有薗芳記らが参加して、松本のフレッシュなセンスでチェーホフ、ベケットの作品、最近ではカフカの作品を舞台に上げて、また別役実の作品も独特の視点で上演した。松本の演出した別役の「マッチ売りの少女」は、ザ・ピーナツの歌を使った、まさに名舞台だった。松本の劇中で使う音楽のセンスは、それだけで聞きもので、松本の演出した舞台の大きな魅力だった。さらにMODEの代表作ともいうべき「わたしが子どもだったころ」は忘れがたい。今回の竹内が、チェーホフの作品をさまざまにアレンジして、松本が進行役で出演して、切れ目切れ目の音楽もたっぷりで、MODEのしばらくのお休みが充分惜しまれる舞台だった。終演後のロビーには、休演を惜しんで、大鷹明良や有薗や、田岡美也子などいろいろな人たちがきていた。再開を楽しみにしよう・・。

by engekibukuro | 2016-03-19 10:42  

3月17日(木)鶴見俊輔「思想の科学」私史

編集グループSURE インタビュー聞き手:黒川創

 「思想の科学」誌は1946年に発行された。同人は、渡辺慧(物理学)、武谷三男(物理学)、都留重人(経済学)、丸山真男(’政治学)、武田清子(政治思想史)、鶴見和子(政治思想史・歌人)、鶴見俊輔(哲学のの7人、渡辺、都留、武田、鶴見和子・俊輔はアメリカ留学者、先ごろの同人では最後に生き残った鶴見俊輔が亡くなった。この雑誌に投稿して一家をなした文筆家はたくさんいて、映画評論家の佐藤忠男、とか評論家の上村冬子とか・・。そのくらい影響力が大きかった雑誌で、わたしも、この雑誌と、とくに鶴見俊輔の書いた「アメリカ哲学」、「プラグマテイズム」などの本、「振り袖狂女論」などの大衆文学論で、共産主義の迷妄から救われた。90歳ちかくの亡くなる寸前の回想で、戦後日本の一つの大きなヒダをつくった思想家として、日本語より英語で思考するという、どくとくの日本語の文体の文章家として、敬愛し、愛読してきた。いろいろ細かい戦後の人脈を知り、面白い日だった。

by engekibukuro | 2016-03-18 09:56  

3月16日(水)M「春疾風」文学座 紀伊国屋ホール

作:川崎照代、演出:藤原新平
”子供が生まれるたびに引っ越してきた家族が、私鉄沿線の駅から徒歩15分ほどの住宅街にあるマンションに落ち着いたのはいまから30年前に1985年頃のことだった。構造一級建築士である夫・健一が携わったマンション、小さな庭付き3LDKでの(しあわせな生活)は10年は続いただろうか。
 母の介護のために実家に帰った健一は最期の10年をともに過ごしたが、母亡きあと、それからもずっと家族の元に帰ってこない。別居生活20年、こどもたちはそれぞれ独立して家を出、妻・桐子はこのマンションで現在ひとり暮らし。”この桐子は司書の務めで暮らしている。あるひ20年ぶりに夫が帰ってくるという連絡がある。20年別居していてもさほどの問題もなく桐子も子供たちも暮らしてきて、夫が実家でどんな暮らしをしていたのか、判然としないが、そういう家庭も世の中にはあるんだとぃうことを、この芝居は自然に納得させる。
それは、ことがらのことより、桐子を演じた倉野章子の演技が納得させるし、20年ぶりに帰ってきた夫健一を演じた早坂直家の演技が納得させる。これは文学座の演技陣の優れた特性で、さらにある家庭のいままで流れてきた特有の時間を感じさせた藤原の演出による。ちょっとキレイごとにすぎると思う向きもあるだろうが、戦後日本の中流の暮らしというもののサンプルのような家族だ。これも川崎の丁寧に描かれた台本によるのだが、ラストの桐子が夫の実家の元に戻り健一と暮らし、マンションには長女が住むと決まり、一家そろっての桐子得意のバラ寿司で祝うというシーンの幸福感が示している。
★奈良谷さま、使っていいですよ。

by engekibukuro | 2016-03-17 10:52  

3月15日(火)M「乱鶯(みだれうぐいす)劇団☆新感線

作:倉持裕、演出:いのうえひでのり 新橋演舞場
 劇団新感線の新展開、ド派手なスペクタクル路線から、江戸の人情劇へ・・。だが、人情劇といっても、ラストには凄惨な殺し合いがあって、その全体が、時代劇を初めて書いた倉持の独特の劇作術が生きていた。古田新太が演じる盗賊の”鶯の十三郎”が、殺し合いで瀕死の状態を、浅草の古びた居酒屋を営む夫婦に救われる。元気になった十三郎は、すっかり足を洗ってその店の板前になって、その店も、繁盛して店に来る客の人気者になる・・。その店の旦那が死んで、そのおかみさんとの商いも順調だったが、あるとき昔の恩人の武士の息子の頼みに応じて、盗賊の大店への押し入り計画の手助けをすることになる。そこで深みにはまってラストの壮絶な殺し合いの場までゆく・・・、そしてそこをようよう切り抜けて、最後は、店のおかみさんとどうなるか・・・、古田の孤軍奮闘劇の様相をていした舞台だった。
★「因幡屋通信ー宮本起代子芝居噂(みやもときよこしばゐのうわ)」の「2015年 因幡屋演劇賞」を紹介する。
*劇団文学座公演 森本薫作 戌井市郎補訂 鵜山仁演出 「女の一生」
*劇団文化座アトリエにおける三好十郎作品「稲葉小僧」(演出;原田一樹)、「廃墟」(劇団東演との合同公演 鵜山仁演出)の上演
*三月大歌舞伎 「菅原伝授手習鑑」の通し上演
*帝劇ミュージカル ミヒャエル・クンツエ脚本、歌詞 シルヴェスター・リーヴァイ音楽、編曲 小池修一郎演出、訳詞 「エリザベート」
*猫の会主主宰 北村耕治の仕事 『ありふれた話』の作・演出 『親戚の話』の作(田中圭介演出 コマイぬ上演)

 新劇から歌舞伎、ミュージカル、小劇団まで宮本さんの観劇範囲の広さに驚く!
 ・問い合わせ先 inabaya@ieaf.ocn.ne.jp 

by engekibukuro | 2016-03-16 10:24  

3月14日(月)俳句を作る演劇人の会 於・銀漢亭


 今回の兼題は「草餅」「杉の花」詠みこみは”ホネ”

 今回は”列島は占領下なり杉の花”という谷口いづみさんの鮮烈なな句、”捏ねられて湯気まで青き草の餅”のイメージが横溢する松代展枝さんの句、など佳句が多かった・・・。

 私も”草餅やあといくばくの春が来るを谷岡健彦さんに特選に採ってもらい、伊藤伊那男先生に”お使いの骨折り賃は草餅で”を採っていただき、堀切克洋君が、”草餅や亡母の記憶に光あれ”と”草餅やマラルメ詩集の傍らに”を採ってくれた・・。嬉しい晩で、堀切君のフランス土産のサラミで吞むビールがうまかった。


・片山杜秀「見果てぬ日本 司馬遼太郎・小津安二郎・小松左京」(新潮社)を詠んだ。とくに、小津の映画の時間につての論考が面白かった。

by engekibukuro | 2016-03-15 10:42  

3月13日(日)震災・原発と演劇ー断たれた日常をつなぐかっかこ

『「轟音の残響」からー震災と演劇ー』出版記念 主催;国際演劇評論家協会日本センター(AICT)

 第一部 リーデイング『ホットパーテイクル』(抜粋)
    瀬戸山美咲(劇団「ミナモザ」)
 第二部 公開トーク
 畑澤聖悟(劇作家、青森在住、劇団「渡辺源四郎商店」主催)
 秋亜綺羅(詩人、仙台在住、詩集「透明海岸から採鳥の島まで」など)
 赤坂憲雄(民俗学者、福島県立博物館館長、学習院大学教授)
 西堂行人(演劇評論家)
 ・瀬戸山のリーデイングのテキストは被災者で無い東京のジャヤーナリストのどのように震災に向かい合うかという問題で、その右往左往ぶりの混乱が描かれていて興味深く面白かった。
 ・第二部の方々の話はそれぞれが、自分の震災体験とそのあとの思考・行動を話されて、興味深く、震災の後始末は、安部の”アンダーコントロール”どころではない、本質的にはなにも解決していないということで一致していた。 ・終わって沖縄料理屋屋で懇親会、畑澤さん、瀬戸山さん、今村さんら主に飲む・・。

・AICT賞のために長井和博「劇を隠すー岩松了論」を読み返す。「市ケ尾の坂」を論じた部分のフロイドやラカンを引用した文章が、こんなに難解だったとは、読み返してつくづく気が付いた。

by engekibukuro | 2016-03-14 11:12  

3月12日(土)M「裸に勾玉」(作・演出:土田英生)

MONO シアタートラム

 弥生時代に、スーツを着た現代人が突然闖入してきて、弥生の村人たちが大恐慌をきたし、スーツを着た男も自分が、なぜ弥生時代に紛れ込んだかわからなくて大恐慌・・。しかも、この村に邪馬台国が攻めてくる状況で、さらに舞台にあがっている弥生の家族は、村八分状態でたいへんらしい・・。この芝居は、そういう弥生人と現代のスーツ男の、珍妙な対話、土田が得意の珍妙語が連発される。そして、スーツ男の指揮で一家そろって逃げ出す・・・。そこで場が急変して、こんれが現代の弥生時代の展示会の余興だという種明かしになる。なんともたわいない趣向だといえばいえるが、面白いのだ。それは、MONOの固定メンバー、水沼健、奥村泰彦、尾方宜久、金替康博、土田英生のアンサンブル、女優の客演陣も巻き込んで、このメンバーの長年の息の合ったアンサンブルの魅力は、どんなMONOの芝居でも面白くて、楽しい。彼らのそのアンサンブルでの弥生人ぶり、じつに楽しかった。

 

by engekibukuro | 2016-03-13 10:20  

3月11日(金)S「スポーツ劇」KAAT×地点

原作:エルフリーデ・イエリネク、翻訳:神津正行、演出・構成:三浦基、音楽監修:三輪真弘
KYOUTO EXPERIMENT×KAAT神奈川芸術劇場 共同製作 神奈川芸術劇場
『光のない。』に次ぐ地点のイエリネク作品の上演だ。演出の三浦は書く、”普通に難しい芝居”だと。

”母親によって殺された父の復讐を誓い、弟のオレステスと母親殺しを実行するエレクトラ。恋人アキレスを虐殺し、自身命を絶つ女権国家アマゾンの女戦士ベンテジレーア。オーストリア出身で”アーニー”の愛称で、本国でも親しまれる、アーノルド・シュワルツエベッカー。彼に憧れ、筋肉増強剤の過剰摂取で死亡した”アンデイ”ことアンドレアス・ムンツアー、精神病院で死んだ父、母との緊張関係自らの生をも題材にしてきた作家、エルフリーデ・イエリネク。古代ギリシアの復讐の物語に登場するヒロインをモチーフに、メデイアによって翻弄される現代人の姿、戦争の代替としてのスポーツ、身体から逃れられない人間の宿命について、イエリネクは自らを媒体にして語り続ける。パパ ママ イエス 違う 沈黙から沈黙までの長広舌 圧倒的な集中とイメージの乱高下。”
舞台は前面に舞台左右から張られて網があり、舞台の上方から急傾斜の絨緞のような布地の坂が下り。2階両脇の回廊には右が女性の、左が男性のパイプで簡素な音楽を奏でる音楽隊が7人ずつ立っている。
俳優陣は、上記の内容を含むと思しき断絶する言語を簡単なステップを踏み、坂を上り下りしながら発語する、その俳優が発する言語の意味内容はわからない、三浦のいうとおり”難しい”、イエリネクの書いた上記の要約された内容はわからないのだが、、観客が普通に理解することを度外視した、発語とアクションは、そんなことはおかまいなしのアッケラカンとして、むしろ楽しげだ。全然それは飽きないし、不思議なものを観たとたという充実感がまさる。三浦・地点の魔術だ。

by engekibukuro | 2016-03-12 09:58