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2月2日(木)


。アンソニー・ドーア「すべての見えない光」藤井光訳 新潮社

 ”人生には自分でえらべないものがたくさんある。たとえば、この小説の主人公であるマリー=ロールというフランスの少女は目が見えない。ヴェルナーというドイツの少年は大戦に巻き込まれる。悲惨とぎりぎりの彼らの運命をその時々に救うのは、貝殻や桃の缶詰、無線で行き交う声、いわばモノだ。それに少数の善意の人たち。遠く離れた少年と少女は少しづつ近づき、一瞬の邂逅の後、また別れる。波瀾と詩情を二つながら兼ね備えた名作だと僕は思う。”
 池澤夏樹の書評だ。わたしもそう思う。

by engekibukuro | 2017-02-03 07:15  

2月1日(水)S「ダークマスター」庭劇団ペニノ

原作:狩撫麻礼、脚色・演出:タニノクロウ、こまばアゴラ劇場
 この芝居、とても奇妙な観劇方法を用いられる。椅子にイヤホーンがおいてあり、それを隣の席の人と共有する。私の隣は河合祥一郎先生で安心した。このイヤホーンを耳にさして観劇する。舞台は、町のさびれた洋食屋、椅子に一人の男が座ってウイスキーを飲んでいる。客は誰もいない。そこにバックパッカーの若い男が入ってくる。椅子に座っている男は店主で、もう店じまいだといって帰させそうにするが、男がなら水一杯だけでもというので、水飲み場で水を飲ませる。ところが、男が帰ろうとすると店主は引きとめる・。どうせ、ほっつき歩いて旅しているなら、ここで料理を覚えろと、なかば強要する・・。男も少し興味を覚えて、ひとつぐらいならと・・。ところが店主は2階に上がってしまい、男にイヤホーンを渡す。2階からイヤホーンで調理場にいる男に料理の基本を教えるのだ。その2階からのからの料理指南を客はイヤホーンで男と共有するのだ。料理をすこしやる私も、その、コロッケやオムライスの作り方を覚えようとしたくらいだ。そこへ、初めての客がくる。男は2階からの指示どうりに作り、客はとてもおいしいといって帰っていった。その方式で料理をつくり、店は評判になり、客が絶えないあ店になる。中国人の客などはチップを10万円おいてゆく・。タニノはこの原作の漫画について、”これは資本主義社会の支配/被支配体系をユニークに表現した作品だという・・。2階からの指示どうりにやると繫栄するということだろうが、ラストに閉店後に客がきて、水を飲ませるというファーストシーンと同じシーンで終わる。こんどは、いまの店主が2階にあがるのだろう・・。芝居としては、と云々するより、とても面白いお話だということが優先する舞台だった。。

by engekibukuro | 2017-02-02 10:13  

1月31日(火)M「鯨よ!私の手に乗れ」

作・演出・振付:渡辺えり、オフイス3〇〇、シアタートラム

 ”若い頃、東北地方の劇団に所属していた役者たちがかっての約束道り同じシェアハウスで暮らすようになった。昔上演するはずだった作品の稽古を始めた彼女らに予期せぬ事件が!!”というのがチラシの惹句だが、このシェアハウスは、介護施設でもあり、病院の一部にもみえ、話の展開も、例によって渡辺のイマジネーションは天衣無縫、予想もつかない展開がくりひろげられるのだ・・。私には、この舞台は出演者がかっての70、80年代の小劇場時代にリーダーとして活躍した女優の、現在の芝居として懐かしくもあり、今も元気で舞台に出ている姿をみてとてもうれしい芝居だった。渡辺はもちろん、かっての劇団「青い鳥」の木野花、病気で出演できなくなった代わりに出演した「ブリキの自発団」の銀粉蝶。さらに初期の「東京乾電池」でとっても魅力的な演技で楽しめた広岡由里子、それに久しぶりで懐かしさもひとしおの鷲尾真知子、それに一流のミュージカル女優久野綾希子、もう彼女たちの演技を観ているだけで、時間が、かっての彼女たちが活躍していた若いころの舞台を思い出し、現在もちゃんとトシをとったからこその魅力をも舞台に発散していて、うれしかった。そして、若い世代からのKAKUTAの桑原裕子が舞台を活気ずけていた。

by engekibukuro | 2017-02-01 10:42