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10月30日(月)M「ある階段の物語」新国立小劇場

★新国立劇場演劇研修所公演 第11期生試演会
作:アントニオ・ブエロ・バリエット、翻訳:野々山真輝帆、演出:田中麻衣子
舞台は、階段の上に1、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ号室が並んでいる。スペイン内戦を経たフランコ統治下のスペインの庶民の生活。作者はスペイン共和派の兵士だったが、投獄された。この芝居も出獄後、フランコ治下の検閲を経て上演された。この4つの部屋に住む男女の、苦しい、時としていがみ合い、愛し合う苦しい先の見えない生活の中で、生きている人々が活写されている。たぶん日本では初めての作家の芝居で、フランコ治下のスペインの庶民の暮らしを見せてもらって、貴重な観劇だった。


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by engekibukuro | 2017-10-31 09:25 | Comments(0)  

10月29日(日)

橋爪大三郎「正しい本の読み方」を読んだ。以前橋爪の本をよく読んだが、偏見だとは思うが、橋爪もそうだが総じて社会学の学者の書く本は
なんでも知っているが、それだけだと思ってしまった。この本もその”偏見”は覆らなかった。
・40万部を突破したという中公新書の呉座勇一「応仁の乱」を読み始める。予期始める。この時代の基礎知識がないとちょっとついてゆくのがたいへん・・。
・大雨の不良馬場での「天皇賞」、武のキタサンブッラクはやはり強かった。2着にミルコ・デムーロのサトノクラウンが鼻差まで追い詰めたが、それでも2着にきて、多少のプラスになった。

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by engekibukuro | 2017-10-30 09:44 | Comments(0)  

10月28日(土)M「明日がある、かな」紀伊国屋ホール

作・演出:中津留章仁、トム・プロジェクト・プロデヂュースデ
 舞台は1960年代の北関東、高度成長時代の夜明けだ。そのための道路工事が盛んになり、工事のためのアスファルトの粉末とスギ花粉が混じって、花粉症が頻発した。成長期にともなう一種の公害問題が村落に亀裂をもたらした。中津留は骨太に、その実情を描きだす。その結果が今の日本なのだが、「明日がある、かな」というタイトルがミソで、現在の日本に果たして「明日がある、かな」という問題を客に突き付けた芝居だった。・おもろ、中川君、沢さんと飲む。

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by engekibukuro | 2017-10-29 05:53 | Comments(0)  

10月27日(金)M「パレスチナ、イヤーゼロ」あうるすぽっと

フェステイバル/トーキョー17
作・演出:イナト・ヴァイツマン
作者はイスラエルで活躍する女優で、人権活動家。舞台は、イスラエル当局に破壊された家屋を調査するパレスチナ人鑑定士の事務所。事例ごとに並べられたファイルが、一つひとつ、ひっくり返されてゆく。イスラエル当局によって不法に破壊されてゆく状態が例示されてゆく。イスラエルによる大量追放、剥奪、離散を現在進行形で描き出した、アラビア語で「大惨事」を意味する「ナクバ」の状態を俳優がその事例ごとのファイルを一つ一つひっくり返し、舞台にその資料を積み重ね、その破壊の事例を語り上げる。これは演劇としてどのようかものかというより、演劇でしか体感できない、今のパレスチナの現状の報告になっているのだ。ナチス・ドイツに迫害されたイスラエルが、なぜこのような暴虐を重ねてゆくのか、その事実そのものを直視できる舞台だ。その暴虐にひるまず生きてゆくパレスチナの人々の強さをも感じることができる舞台だった。
 

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by engekibukuro | 2017-10-28 10:50 | Comments(0)  

10月26日(木)M「シャボン玉の欠片を眺めて」サンモールスタジオ

作・演出:大西弘記、TOKYOハンバーグ
舞台は、多摩川の土手が見える家に傘寿を迎えた老人が一人で住んでいる。子供たちはそれぞれ別に暮らしており、老人は毎日のように家を掃除する会社に来てもらって、掃除してもらう。掃除そのものより、来てもらうこと自体が目的で、一人暮らしの寂しさを紛らせている。この芝居はその清掃会社の仕事の照会と、老人の子供や孫の老人へのさまざまな気持ちの交錯が描かれている。きわめて今日的な老人問題を取り上げた芝居だ。見どころは老人を演じた三田村周三の演技、三田村は金杉忠男が率いていたアングラ劇団・中村座の出身で、私はそのころからもう50年前ごろから観ている。金杉の芝居の舞台は東京の場末の下町だったが、そこに暮らす人々を描いて、三田村は脱いでも脱いでもなくならない超厚着の衣裳を着た奇人を演じてとても印象的だった。三田村は、中村座から松本修が主催する演劇集団MODEに移り、有薗芳記などと同じ舞台を踏み、そこからさらに三田村組を立ち挙げ、初期の蓬莱竜二の作品などを上演した。そして癌を克服して、現在も俳優として現役だ。ずいぶん長い間三田村の芝居を観てきた。今回も子供たちに告げずに家を出て暮らし始めた老人を演じて、しゃぼんだまの欠片を宙に浮かして、人生というものをしみじみ感じさせた演技だった。健在を喜びたい。

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by engekibukuro | 2017-10-27 09:56 | Comments(0)  

10月25日(水)M「鼻」紀伊国屋サザンシアター

作:別役実、演出:鵜山仁、文学座
この作品は、三津田健がかって主役・将軍を演じた舞台の再演だ。今回演じたのは江守徹。舞台は”修道院の経営する裏庭。ひそかに長期療養患者を入れ替えて、経営状態を回復しようと、医者と修道尼たちが「さりげないいやがらせ」を実践している。入院患者やの、なぜか将軍と呼ばれているその男は車いすに乗せられて庭に現れるのが日課で庭の木の枝に作り物の「鼻」をぶらっさげさせているのだが、起きているのか眠っているのか、自分でもわからない。”この芝居の大元はエドモン・ロスタンの「シラノ・ド・ベルジュラック」だ。「鼻」はシラノのあの名高い鼻だ。ロクサーヌとおぼしき老婦人もこの病院にいるらしい。椅子に座ってしゃべる将軍の江守を中心に、渡辺徹、徳丸伸二、沢田冬樹、金沢映子、千田美智子、増岡裕子、栗田桃子と、文学座らしいアンサンブルで、別役世界を緊密に見せる。久しぶりに文学座らしい舞台を観た満足感があった。
 ・終わって観に来ていた谷岡健彦さん、日経の内田洋一さんと高島屋の6回の中国茶専門店でお茶を飲む。

★パソコンの不調でブログがお休みになりことがあるかもしれません。

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by engekibukuro | 2017-10-26 09:46 | Comments(0)  

10月23日(月)S「犬狼都市ーキュノポリス」芝居砦・満点星

作:澁澤龍彦、演出:金守珍、構成:水嶋カンナ、美術:野村直子
澁澤龍彦没後30年記念、Project Nyx
かなり昔、「聲」という同人季刊誌が出ていた。同人が、大岡昇平、仲村光夫、福田恒存、三島由紀夫、吉川逸治というそうそうたるメンバーだった。その雑誌にこの澁澤の処女小説「犬狼都市ーキュノポリス」が掲載された。それを読んで、圧倒された思い出がある。この舞台は、原作を妹尾美里の作曲・ピアノ演奏、舞踏の奥山ばらばが加わり、それに萩原朔太郎の孫の萩原朔美が、ヒロインの父の役で特別出演する異色の舞台で、成山浬と水嶋カンナのナレーションで進行する。奥山の舞踏が圧倒的だった。

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by engekibukuro | 2017-10-24 10:52 | Comments(0)  

10月22日(日)

早朝、雨中に投票所へ行き投票する。この雨じゃ投票率はだいぶ落ちるだろう。
ノーベル賞を受賞したカズオ・イシグロの未読だった「遠い山なみの光」を読む。舞台は長崎とイギリスの田舎町、それが交互に描かれるのだが、わかりやすそうでわからない。長崎の出来事とイギリスの出来事との説明はなく、読者の想像にゆだねる形の描き方だ。それが、時間というものの不思議さを見事に描いた小説だといえるだろう。長崎もイギリスもそこに生きている人間はくっきり印象に残るのだから・・・。
・ニューヨーク・ヤンキースはアストロずに負けてしまった。これでワールドシリーズでの田中将大とダルビッシュの対決は見られない。残念至極・・。秋の競馬B!レース菊花賞はデムーロのキセキが勝ったが、2着が無印の穴馬、たまたまそのワイドの馬券を1枚押さえていたので、トントンになった。


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by engekibukuro | 2017-10-23 09:38 | Comments(0)  

10月21日(土)M「オーファンズ」草月会館

作:ライル・ケスラー、翻訳:小田島恒志、上演台本・演出:マキノノゾミ
”フイラデルフィアの廃屋で暮らすトリート(細貝圭)とフイリップ(佐藤祐基)の孤児兄弟は、凶暴な性格の兄トリートが臆病な弟フイリップを外界に出さず支配し、トリートの稼ぎでだけで生活していた。そこに、やくざ者のハロルド(加藤虎ノ介)が迷い込んできて、彼もまた孤児だったことから、3人で疑似家族のような日々が訪れる。ハロルドは若い二人にさまざまなことを教えていく。フイリップの中でトリートの存在は少しずつ薄れていき、やがてトリートは孤独感にさいなさまされる。孤児(オーファン)との共生によって再生する孤児たち(オーファンズ)の物語の向かう先は・・・。”この芝居は、小川絵梨子の演出でも見た。なかなかの緊密な作品で、今回のマキノ演出は、テキストの密度をさらに高め、3人の関係はなまなましく、素晴らしい舞台が出来上がった。細貝、佐藤、加藤の役者も役になりきっていた。名作だ。

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by engekibukuro | 2017-10-22 10:04 | Comments(0)  

10月20日(金)S「イデビアン・クルー 肩書ジャンクション」

振付・演出:井手茂太、東京芸術劇場シアターイースト
井手の仕事は、ダンスではなく、演劇公演での俳優のアクションの振付などで観ていたが、本格的コンテンポラリーダンス公演ははじめて観た。井手を筆頭に総勢9人のダンサーが踊る・・。踊るというより、とても演劇的なパフォーマンスとして観て、とても面白い舞台だった。
井手のコトバ”さっきすれ違った人は、別の場所で別の関わり方をしていて、自分は知らないその人の別の肩書が。どこかで自分に繋がっていくのかもしれない。この時代に面と向かって人と人とが出会う時、入り乱れて巡り巡ってぶつかったり追い越したり、ちょっとくすぐったいぐらいのことが起きているとしたら。””表向きの顔が交差して表向きの身体で走る止まらないように溜めないように流れるように反り返って回りだす・・。”なんでもない日常の動きが、多様多彩にフツーに変化して、一つの世界が出来上がっレ行く・・。そのフツーさのたたずまいが、なんともいえない魅力になって浮いた。それに舞台で自分で踊って舞台をひそかに導いていく井手のダンス・パフォーマンスがさりげないだけに一層チャーミングだった。

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by engekibukuro | 2017-10-21 09:50 | Comments(0)